第22回1/1:素材集ビジネス、付加価値の付け方





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◆素材集ビジネス、付加価値の付け方:戦国時代の素材集ビジネス1/1

 素材集ビジネスの大きな地殻変動ともいえるものが、ミスミのマルチビッツ・イメージ編のカタログです。マルチビッツ・イメージ編のカタログにはなんと3,000点を超える素材集が掲載されています。人ごとじゃないんですが、3,000点もの素材集があると商売になるんかいな、と思ってしまいます。
 わたしもね、多少ながら、点数を増やす側に回っていたりするので、偉そうなことはいえませんが、3,000点もあると選ぶのもたいへんかもしれませんな。
 素材集も結構海外からもってきたものもあったりして、それで供給が増えているということはありますな。そういうのは製作費とかはかからないんでしょうけど、日本で制作して販売していると、どうやってコストを回収しているのだろうか、と思ってしまいます。
 マルチビッツ・イメージ編のカタログは日本で手に入れることのできるほとんどの素材集が掲載されています。しかしその逆に、パソコンショップでは素材集販売してるところは少なくなりました。
 2,000円とか3,000円とかの一般コンシューマ向けの素材集はパソコンショップの店頭に置いても売れるでしょうけど、DTPという狭いマーケットをターゲットにした場合は、そういうマーケットに特化したショップでしかお目にかかれないわけですな。だから、もし多くの素材集がマルチビッツ・イメージ編のカタログだけで販売しているとしたら、早晩厳しいサバイバルが展開されそうです。
 私の場合は、イニシャルコストをできるだけかけないように努力して、もし売れなくても、損はしないよう配慮しています。中身だって、プレスしたりしませんよ。よほど売れるんだったらプレスしますけど、へたにプレスして、時代に取り残された“製品”を売る努力するより、売れるように中身を作り替えて時代にマッチさせていく方が、使っていただく人にもいいんじゃないかと思います。
 だいたいDTPの素材集は、制作時に需要が発生します。たとえば「製薬会社の会社案内の表紙につかえるイメージが欲しい」とか「21世紀に羽ばたくワールドワイドビジネス」なんていうコピーにフィットするイメージが欲しいというよなことがあって、手持ちの素材集にそういうものがなかったり、自分でつくるより在りものを使った方がいいとき、はじめて素材集に目を向けるわけですな。
 それでも制作時には“買う”というところまではなかなか行かないわけですな。“買う”のはプレゼンして制作を受注して、その素材集をどうしても必要になったときですな。「この仕事を受けたら、お金になるから、素材集をかってもいいだろう」ということです。つまり

原価に組み入れることができるから、需要が発生する


わけです。
 しかし、DTP用の素材集は印刷という縮みゆくマーケットの中で使われていくわけです。そうなると、素材集そのもののマーケットが毎年毎年大きくなっいくのかというのは、かなり疑問ですな。いままでは、リースポジレンタルポジという業界があって、そのマーケットを食いつぶすことで、ロイヤリティフリーの素材集というマーケットが拡大してきたわけですが、マルチビッツ・イメージ編のカタログに3,000点も載るようになると、まさに素材集も生き残りをかけて厳しい戦国時代に突入というわけですな。人ごとみたいに書いていますが、いやはや困ったもんです。
(工学社 Professional  DTP誌 2002年04月号所収)

 

第21回1/1:PDFの面付けテンプレートというコンテンツを売る





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◆『自動処理できるPDF面付けの素』完成せり:PDFの面付けテンプレートというコンテンツを売る1/1

 以前に書きましたが、InDesignPDFを使って半自動で行う面付けを行なうテンプレートが完成しました。『自動処理できるPDF面付けの素』というタイトルです。アプリケーションの機能だけを使って面付けするものです。
 『自動処理できるPDF面付けの素』で面付けする場合、手順に関してはすこし面倒なところがないとはいいませんよ。PDFを書き出して、今度はEPSにしてもう一度PDFにしてトリミングして、それからダミーで貼り込んだファイルを差し替えるわけですな。
 だけど、すべての工程でね、1ページずつ処理する必要はありません。一括して行えます。まあ、PDFの書き出しは一括して行えますが、EPSもAcrobat 5.0から書き出せば、全てのページを一度に単ページのEPSにすることができます。EPSで書き出すと、ファイルサイズがすこし変わってしまうので、Acrobat 5.0でトリミングを行うわけですが、これはバッチ処理のシーケンスで自動処理できます。
 あとは、InDesignのリンクを更新するだけです。更新はファイルを差し替えれば自動的に行えます。面付けという専門知識がなければできなかった作業が、ファイルの差し替えというたったそれだけでできてしまうわけですね。
 こんなことができるのは、

PDFが完全にデバイス・インディペンダントなフォーマット

だからですな。日本語フォントを含むPostScriptファイルは「完全」とはいえないところがあって、アウトライン化したり画像化したりしなければ日本語フォントはプリンタに必要なんですな。
 しかしPDFにしてしまえば、そういうことはいっさい考えなくてもいいわけです。面付けする貼り込み位置さえ正しくセットできれば、PDFに埋め込まれたフォントは、TrueTypeフォントであってもOpenTypeフォントであっても、プリンタの出力環境を気にするとこなく出力できるわけですな。
 できればもう少し使いやすいものにしたいとは思っていますので、さらに工夫を重ねて、もっと簡単に誰にでも面付けできるツールにしたいと思っています。
 ただいずれにしても、ユーザーが面付けしてDTP出力を依頼してもいいんじゃないかと思うわけですな。もちろん複雑な製本の場合は、専用のソフトが必要なことがあるでしょう。それは否定しませんよ。とはいえ、簡単にできるのであれば、ユーザーが行ってもいいはずですね。
 聞くところによると、InDesign 1.0Jのユーザーの次のバージョンに期待する要望としてリストされた中にはちゃんと「面付け」の機能があったそうです。面付けをアプリケーションで行いたいと期待する声はけっして小さくないと私は思うわけですな。
 もちろん『自動処理できるPDF面付けの素』はテンプレートなので、用意したテンプレート以外のドキュメントサイズでは、そのまま使うことはできません。オリジナルのサイズでは、テンプレートを自作する必要がありますけどね。まあでもたいていのものは、これで可能になります。
 テンプレート自作の方法もいずれ解説したいと思っています。理屈さえわかれば、たいていのものはテンプレートを編集することで可能になります。すこしややこしいですけれどね、
(工学社 Professional DTP誌 2002年03月号所収)

第15回1/4:パブリッシングの新しいカタチを作ろう





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◆書籍流通の仕組みを使わなくても出版ビジネスは成り立つのだ:パブリッシングの新しいカタチを作ろう1/4

 私はね、そういう書籍流通に流すほどではないけど、どうしても欲しいという人がいるようなテーマの本を発行したいと思っています。値段は普通の本に比べれば高くても、フルカラーで印刷できるわけでもなくても、ページ数だってそんなには多くないにしても、いまの書籍流通では扱いにくい内容のものを発行していくのも、新しいパブリッシングの形ではないかと思っています。
 いやいや、出版の新しいカタチはいろいろあると思いますよ。もっと今までの方法論に縛られない取り組みはもっとあっていいし、いままでの常識とはかけ離れたパブリッシングがどんどん模索されてもいいと思いますね。
 だから、私もそういう部分で新しいパブリッシングのカタチを模索したいと思っているわけですな。
 もちろん、電子書籍のという選択肢もあるでしょう。しかし、あの手のビジネスはいまのところ、出版元にイニシアチブがあるわけではなく、コンテンツを流通させることのできるところが力を持っています。当分は、コンテンツをたくさん集めたところの方が有利になるでしょう。そうなると、お金を持っていないとできないビジネスかもしれませんな。
 さて、それで何をしているかというと、自分で解説本を書いて、それを印刷して本にして、直接売っています。ページ数はそんなに多くなくても、必要な内容だけに絞って、必要な人にだけ売っていきたいと思っています。
 そうはいっても、昔はなかなか販売する方法がなかったわけですな。直売りしてくれる書店に持ち込んで扱ってもらうくらいしかないわけですな。
 今だともう少し販売の方法が広がりますね。私の場合は、まず、Webで売りますね。書籍いっても、取次は関係ないので、再販制度も関係ないわけです。ですから、値段は自由になります。予約していただいたり、何冊もまとめて買っていただく場合は、割り引いたりすることもできます。本のテーマにもよりますが、予約だけで百冊以上は注文がきますね。
 もう一つはセミナーをしながら、本を買ってもらうというやり方ですが、こちらの方も結構効果的な販売方法です。ただ単にセミナーをするより、本もあわせて読んでいただければ理解してもらいやすいということがありますな。
 私なんかあんまり欲がありませんから、「年間で千冊も売れればいいや」というような感じですが、逆にいうと年間千冊売れる本をたくさんだせばいいわけです。書店においてもらって、年間数千部くらいだっら売れるでしょうけど、数万部売れる本はいまはね、そんなにたくさんはないわけでしょう。やっぱりね、比率からいったら、初版も捌けないで流通に埋もれてしまう本の方がたくさんあるわけですな。
 私はね、少部数でいいから、本を発行できる仕組みを作りたいと思っています。いまのところは自分で書き続けていくしかありませんが、続けていけば、いろんな人の本が発行できるのではないかと思ったりしています。
 だから、内容にあわせてオフセットで印刷したり、プリンタを印刷機の代わりに使って小ロットでも本を作る方法をいつも模索していますな。
 また、そういう小ロットの出版の中から、そのうちいまの流通に流せるだけの価値をもったものも生まれてくるんじゃないかと思ったりもします。
 出版業界は制度疲労を起こしているといわれています。まあ、制度疲労を起こしているのは出版業界だけのことではなく、日本の多くの業界で起きていることなので、時代の変わり目に流通の仕組みが変わっていくのは当然かもしれませんな。
 そういう時代の変わり目にこそ、新しいビジネスが生まれていくわけですな。そういう意味では、出版業界で新しい取り組みをするのは今がチャンスでしょうな。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年09月号所収)
 

第14回4/4:素材集ビジネスはパブリッシングなのだ





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◆小ロットに見合った通販のカタログで売る:素材集ビジネスはパブリッシングなのだ4/4

 さて、いろいろな理由が重なって、素材集を売ろうと思いついたわけですが、やっぱりね、一番のネックは「どのようにして売るのか」ということだったわけですな。まあね、どんないいものを作っても、売れなきゃ意味がない。売るためには売る方法が必要になるわけですな。
 かといって、いままでように素材集を扱っている流通さんに持っていっても扱ってくれるかどうか、ということもありますな。たとえ流通を通すことができても、ショップの店頭だけに置いて売れるかどうかというと、「ちょっとむりじゃない」という気がしたわけです。
 商売を始める前からそんな弱気なことを言っていたらいけないわけですけどね。それでもショップの店頭は競争が激しいですから、おいて貰うだけでも、なかなかたいへんですな。
 なんたって、広告予算なんてありませんからね、多くの人に知ってもらうということは、まあできないわけです。となると、やはり流通さんを通して売るのは、だいぶ先の話でしょうな。ですからとりあえず、ショップで売るのではなく、別の売り方が必要でしたね。
 もちろん、Webで売るというのは、一つの方法でした。しかし、Webで思ったほど売れるのかというと実は「かなり疑問」だったのです。できればWebで売れれば一番いいのですけどね。しかし、すぐにそれで売上の見込みがあるというのは考えにくいことですな。もっともいまは、Webで売る方法を本気で考えようと思っていますけどね。
 で、結局、素材集でビジネスしようと決断した一番大きな理由は、ミスミのマルチビッツの素材集のカタログで販売できるということを知ったことなのです。DTPで飯を食っていれば、マルチビッツを知らないひとはまずいないと思いますが、おそらく、

あのカタログがなければ、私は素材集をつくって売ろうとは思わなかった

かもしれませんな。
 通販のカタログで売るというのは、CD-Rで必要な分だけ焼いて供給する方法をとっていた私にとっては、もっとも好都合だったのです。
 最初はMacintosh版だけでいいや、と思っていたら、私の校正ミスで製品がハイブリッド版として紹介されてしまい、あわててハイブリッド版に作り替えたこともありました。CD-Rで作っていたことが幸いしましたね。
 まあ、はじめて取り組む事業ですからね、最初は失敗もあったりしますな。ブラウザ用に作成したHTMLファイルをMacintosh版とWindows版を共有ファイルにしたら、うまくいかないこともありました。ファイル名はちゃんとしてあったのですが、別の理由でWindows版のHTMLのリンクが働かないこともありました。
 まあでも、おかげで、ハイブリッドのCD-Rを焼く方法は、結構詳しくなりましたけどね。
 さて、マシンのスピードは上がり、以前より素材集は作りやすくなりましたね。私の作っているBryceの3D素材データは私のところでレンダリングしているのですが、やっぱりね、新しいマシンでレンダリングすると早いですな。もっとも、素材集が作りやすい分だけ、この業界も競争が激しくなっているけどね。
 まあしかし、私の方法は、他社に比べて損益分岐点がかなり低いというのが、大きな特徴ですな。そんなに

たくさん売れなくても成り立つ

ようになっています。まあ、売れないものがあっても、その中で売れるものがあればそれでいいや、と思っていたりします。
 ということは、ショップの店頭では売りにくいものや、マーケットの小さなものでも販売していけるということになりますな。いまのところは、CGの画像データと、Illustrator EPSファイルだけを扱っていますが、もっとちがったものも販売していきたいと思っています。
 私はね、素材集事業というのは、ユーザーのためだけにあるのではなく、クリエーターのためにもあると思うわけです。つまり、素材集という名前のパブリッシングではないかと思っていたりしています。損益分岐点が低ければ、いろんなものを販売していけるでしょう。そういうものを手がけていきたいと思っています。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年08月号所収)

第14回3/4:素材集ビジネスはパブリッシングなのだ





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◆資本をかからないように工夫しよう:素材集ビジネスはパブリッシングなのだ

 ロイヤリティフリー素材集を手がけようと思ったもう一つの理由は、手軽にできるということがありました。いやいやホントに、“資本”なんて言葉がいらないほど簡単にできるものであったということでしたな。
 簡単にいうと、CD-ROMでプレスすると、結構費用がかかりますから、リスクが大きいわけです。それなりに売れる目算が立たないとプレスはできないわけですな。
 しかし、プレスしなくても「CD-Rでできるじゃないか」「CD-Rでも素材集として使えるじゃない」ということだったわけですな。最近はCD-ROMのブレス代もこなれてきて、小ロットでの対応も珍しくなくなりました。それでもね、何百枚も売るとなるとそれなりの資本金がいりますよね。1タイトルというわけにはいきませんからね。
 売れるかどうかは売ってみないとわからないのですが、それでも何タイトルもプレスして売るとなると、年間に1タイトルで何百枚何千枚売るつもりがなければ、できない相談ですな。そんなに確実に売るルートを持っていませんからね。できたての会社からすると、「CD-ROMでプレスする」などというリスクはね、やっぱり冒せませんな。
 「製品に自信があったら、リスクを冒してもいいんちゃうの」という意見あるかもしれませんね。まあでも、そんなことはありませんよ。世の中で事業をしている人たちは、たいてい自分の商売に自信持っています。しかし、それが独りよがりの場合も少なからずあるわけですな。もし製品に自信があったら、そしてそれで

予想通りにいくのであれば、世の中の人すべては成功者になれる

わけですな。現実には、そんなことはないでしょう。
 ですから、リスクを排除して、CD-Rでその都度焼いて売っていくしかないわけです。もちろん耐久性を考えるとプレスする方がいいのですが、それは、うまくいって成功したときに考えればいいわけですな。最初はリスクを回避してCD-Rでするのが間違いありません。
 素材集のタイトルを作るときにもっもとお金がかかるのは、実はプレス代ではなく、ブックレットインレイなどの印刷物です。最初は、ブックレットやインレイも「カラープリンタを使うか」と思ったりしましたが、それはあまりに安直なので、オフセットでちゃんと印刷することにしたわけです。
 もちろんできるだけ安くする方法を考え抜きました。片面だけを印刷したり、何種類も付け合わせることで、一タイトルあたりの費用をできるだけかからないように工夫しました。ここでもリスクをできるだけ低減しようと思ったわけです。
 なんといっても、長年印刷会社で営業をしていたので、どうすればコストがかからないのかということは、自分でいうのはなんですが、知悉しているつもりでした。そういう意味では、印刷業に携わったことがここでは役にたっていますな。
 もし、私が印刷の知識もなく、印刷会社発注したとしたら、安く上げる方法も思いつかず、たとえCD-Rでやっても、損益分岐点は大きく跳ね上がっていたに違いありません。そうなったら、素材集ビジネスが続いていたかどうか、なんともいえないかもしれませんな。
 ちなみに当時のCD-Rの書き込み速度は、せいぜい4倍速でした。たとえばCD一枚に500MBくらいあると、それを書き込んでさらに検証して、なんてすると、30分くらいかかったりするわけです。たった一枚が30分なんですけどね。もっとも、機械がするのでたいしたことじゃないんですけどね。
 いまでは、CD-Rの書き込み速度も上がり、以前より楽になりました。最初の苦労は少しは報われつつあるようですな。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年08月号所収)
 

第14回2/4:素材集ビジネスはパブリッシングなのだ





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◆ロイヤリティフリー全盛の波に乗る:素材集ビジネスはパブリッシングなのだ

 素材集ビジネスをしようとおもった理由は、やっぱりね、世の中がロイヤリティフリーの素材集の方に向いているぞ、ということもありましたね。
 むかしは、リースポジ(フィルム)レンタルポジといった写真のライブラリがありました。カタログも山のように出回っていました。カラーポジを探しに行ったり、分厚いカタログを見て、写真を借りていたわけです。まあ、いまでもありますが、風前の灯火ですな。
 数年前以前は、在りもののポジフィルムは借りてくるものだったのです。しかも一回使うごとに使用料が必要でした。もちろん、それらのポジを作ったカメラマンやCGデザイナーが使用料を請求するのは当然のことですから、一回使うごとに支払いが発生するのは仕方のないことでしょうな。
 まあといっても、同じポジをチラシとポスターに使うと、ダブルで請求されましたし、チラシでも、印刷枚数によって利用価格が違っていたりしました。用途に合わせて、露出度に合わせて、価格も変わってくるわけです。
 使用料がある程度かかるのは仕方がありませんが、著作権意識の低い印刷会社やデザイナーが不用意にリースポジを使ったりすると、クライアントに対して直接弁護士から電話がかかってきたりすることもありますね。知らない間に不法利用されたりすることあるわけですな。リースポジを使った印刷物をそのままスキャンして再利用したりする人も世の中にはいるわけです。そういうのがね、見つかるとやっぱり、不法利用になるわけですな。
 もちろんリースポジがなくては、できない印刷物はたくさんありました。ですから、世の中にとって必要なサービスであったことは確かです。旅行会社のパンフレットを作るとなると、海外のイメージ写真が必要となりますから、海外まで取材に行けないのであれば、リースポジを使うしかありませんよね。
 しかし、DTPによって、ユーザー層が広がるともに、印刷物の低価格化と相まって、より手軽な「リースポジ」が求められるようになったのです。
 デジタルによって画像データがDTPを導入している環境で在れば、簡単に画像データを利用できるようになったことで、ロイヤリティフリーという素材集がうまれたわけですな。
 よく素材集には「著作権フリー」と書かれていることがありますが、著作権は作成した人のものですから、著作権がフリーということはありません。

素材を使うときに発生するロイヤリティがかからない

ということですね。だから、正確には「ロイヤリティフリー」というわけです。
 画像データの場合、一回ごとに使用料をとることはできませんから、ロイヤリティフリーで売るしかありません。しかも、販売するメディアはCD-ROMですから、できるだけたくさんの素材を入れた方がいいということになりますな。
 かくして、DTPの「リースポジ」はロイヤリティフリーの素材集が当たり前となったのです。ロイヤリティフリーであれば、その中のたった一素材しか使わなくても、いままでリースポジを借りるよりも安くて、ひょっとしたら、別の機会でも使えるかもしれないという淡い打算も満たしてくれます。
 クライアントの企業にとっても、デザイナーや印刷会社がロイヤリティフリーの素材集を使っていれば、どのように利用しても著作権関係のトラブルには巻き込まれる怖れはまずありません。流用した素材であっても、弁護士から電話がかかってくることはないわけですな。
 そう考えると、「これからはロイヤリティフリーの素材集の需要はますます増えてくるに違いないぞ」といっても間違ってはいないはずです。そういう今後も成長しそうな業界でビジネスを展開する方が、将来的にはより大きな可能性が見いだせるわけですな。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年08月号所収)
 

第14回1/4:素材集ビジネスはパブリッシングなのだ





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◆素材集ビジネスを思いつく:素材集ビジネスはパブリッシングなのだ

 この二年を振り返ってみると、印刷の仕事はどんどん減ってきています。まあね、私が積極的に印刷物の仕事を取りに行かないことが大きな原因ですな。そりゃ、営業に回らなければ発注はないのは当然です。
 独立するときに、最初から新しいビジネスで一旗揚げようと思ったわけではありません。まずは、印刷の仕事をしなくてはならぬ、と思っていました。
 私の知り合いを見ても、印刷会社から独立してブローカーで飯を食っている人はけっこういます。印刷会社に勤めていたときに担当していた得意先をそのまま連れて行って、それだけでもかなりの売上を上げている人は少なくありませんな。ま、世の中そんなもんです。
 やっぱりね、何十年も担当していたりすると、営業マンと担当者の間で互いに情が移るわけです。ですから、会社を辞めてもその営業マン個人に発注が回ることは珍しくないですな。担当得意先が大企業だったら、発注を少し分けてもらうだけでもおいしい商売になったりします。
 というわけで、私も独立しても印刷の仕事は続けていくべきだと思っていましたね。ただし、それがずっと続くとは思いませんでしたから、いずれ別の商売で食べていこうと思っていたわけです。
 では何をするのか、と思ったとき、「これはいけるぞ」と思ったものが、

ロイヤリティフリーの素材集の販売

でした。
 いままで利用する立場にいた素材集ですが、これを作って販売することで商売が成り立つのではないかと思ったわけですな。というより、先に素材集のネタになるものがあったので、それをなんとか売りたいと思ったわけです。
 ことの起こりは、ひょんなことで私が東澤雅晴さんというデザイナーと出会ったことです。当時Gordian Knotという本を作っていまして、その表紙の提供してくれるデザイナーを捜していたわけです。東澤さんは表紙のCGの作成を快く引き受けてくれました。それ以来のおつきあいです。
 CGのデータはBryceというソフトで作成されていました。BryceはCGソフトといっても、正確には景観を作成するソフトで、一般のCGソフトとは異なっていました。景観を作るだけなので、モデリングが必要ないというか、できないというか、それでもそれなりの一種独特な風景ができあがってしまうソフトでした。正直言うと、私はこのBryceというソフトが好きでした。
 私は東澤さんの作成する作品を見ながら、これを素材集にして売ることはできないだろうかと思ったわけです。私は結構売れるんじゃないかと思ったので、是非自分の手でやりたいと考えました。
 そのとき勤めていた会社でやってみるという選択肢もありましたが、どうせなら独立して後悔したくないと思ったわけです。会社でやると後悔するかってというと、難しいところですが、思い通りにできないかもしれないという懸念はありましたね。
 まあもう、そのとき不惑の年である四十歳でしたから、独立するとしたら、いまが最後かしれないなどと思ったりもしたわけですな。
 そんなこんなで、当面は印刷の仕事をしながら、そのうち、素材集のビジネスにシフトしていければいいのでは、とそういう皮算用をはじいたわけですな。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年08月号所収)
 

第13回4/4:あなたにでもできる独立のすすめ





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◆あなたがやりたいテーマを見付けよう:あなたにでもできる独立のすすめ4/4

 といっても、私は印刷業界でそれを期待するのはほとんど「むり」という気がしますね。やっぱりね、印刷業の大半は、高度成長期に社業を発展させた会社が多く、社長や社員がそのときの成功体験を忘れることができない会社が多いのではないかとおもいますね。その成功体験を捨てなければ、おそらく、これから発展するのはたぶん不可能でしょうな。
 人間というのは、ある程度豊かになって余裕が生まれ、年をとってくると、ハングリー精神を失うわけですな。そして、アグレッシブなことができなくなります。そうすると、当然ね、時代の風を読んで、あたかも

罠を仕掛けるように世の中が進む半歩手前で待ちかまえる


などという精神力を維持することはできなくなりますな。「楽に生きたい」と誰もが思うわけですな。
 私はね、印刷会社に勤めているみなさんが、印刷会社という枠組みで収まってしまうような会社にいるのであれば、将来はあまり輝かしくないぞ、と思っています。もちろん中には、印刷会社として大きく飛躍していく会社もあるでしょう。しかし、そういう会社はほんの一握りですよ。まあ、宝くじに当たるようなものかもしれませんな。
 ですから、印刷会社や印刷関係に勤めている人はね、自分で新しいマーケットを見付けることが必要なんです。自分がやってみたいこと世の中が求めていること、みんながあっと驚くようなことを、絶えず探していって、それができるように行動にでなくてはなりません。
 その新しいアイディアはいま勤めている会社で稟議を起こしてやってもいいし、独立を決意して自分の手で起業してもいいと思いますね。
 大事なのは、ビジネスのテーマを見付けるということなんです。おもしろいもの、楽しいもの、ワクワクするものでビジネスになるものを見付けるということなんです。
 変化はいつの時代でもあります。どのような時だって、次の時代に大きな商売になる種をはらんでいるのです。そういうものを見付けてやろうという、意識を是非持って欲しいと思いますね。
 それがあればね、私はいつでも「独立」できるとおもうんですね。少なくとも精神的に独立すれば、会社に依存して生きていかなくてもすみますよね。
 私もね、会社に依存するのではなく、「自分の力で生きて行こう」と決意して、それで「独立」することにしたんです。もちろんお金はありませんから、いまの新しい技術や機械や考え方を梃子にして、お金がなくてもできることはないかといろいろ考えたわけですな。そこで「なんとかなるんじゃないか」と目処がついたので、思い切ってサラリーマン生活に別れを告げたわけです。
 あたらしいものがぞくぞくと生まれる中で、それを使うこなして行くことで、お金をかけなくてもできるビジネスはきっとあると私は思っています。ほんとうにもうかるビジネスになったら、お金は向こうからやってきます。
 ビジネスといってもね、新しいことにトライするのは、すごくクリエイティブなことだと思いますよ。自分自身が興味を持てて、他の誰もがやっていなくて、なおかつ当初はお金をかけないでできるビジネスっていのは、当然ながら「創造力」が要求されるわけです。そういうことにトライしたいと思っているわけですな。
 その結果は、たぶん今年の私の行動にかかっているような気がしています。次回からはね、いま私が何をしているのか、あるいは何をしようとしているか、といったことを具体的に記していきたいと思ってます。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年07月号所収)
 

第13回3/4:あなたにでもできる独立のすすめ





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◆印刷業界では新しいマーケットを生み出せない:あなたにでもできる独立のすすめ3/4

 世の中が変わっていくにしても、どのタイミング変わっていくのかというのは、やっぱりわかんないわけですね。わかんないんだけど、その変化にこそ商機があると私は思うわけです。
 15世紀の末もね、新しい金属活字に技術が現れて、それによって大きな変化があったわけですが、それでもなかなか変わっていかない部分もあるわけです。生産性を考えれば、印刷工房や書籍商で装飾・製本までをした方がいいわけですが、本を欲しいという人は、いままでの写本と同じように、お気に入りの装飾・製本をしたい思うわけですね。だから「刷り本」で納品するわけですね。
 印刷なんだけど、いままでと同じように「刷り本」をもらって装飾・製本したいという人々の考え方というのは、やっぱりね、なかなか変わらなかったりするわけです。まあ、技術が進歩しても、人間の意識はすぐには変わらないわけですな。
 いまも新しいデジタル技術の登場で、時代は大きく変わっていこうとしています。ですけど、ビジネスする上ではね、何がどのように変わっていくのか、そして、いつ変わっていくのかということをしっかり把握しておかなければならないと思うわけです。そして、また

すぐには変わらないものは何か

ということも知っておく必要があると思うわけです。
 そういう意味で、いまの時代とグーテンベルクの時代は近いところがあると思いますね。そういう変化のあり方に注目して商売しなければらならいのではないかという気持ちでね、私は「インクナブラ」という会社名を選んだわけですな。
 というようなことを、はじめてあった人には挨拶代わりに話することにしています。社名一つにしても、多少は蘊蓄を傾ければ、興味を持ってもらえるでしょう。そして興味を持ってもらえれば、会社名を覚えてもらえるんじゃないかと思っています。もっとも本当のところは、どうなのかは知りませんけどね。
 さて、新しいビジネスっていうのは、変化のなかにのみあります。世の中が変化していくと、あたらしい需要が生まれます。その新しい需要にマッチするようなサービスを提供するとね、新しい商売が始まるわけです。
 新しい商売を始めるには、ちょっとした変化を的確につかんで、少し前で待ちかまえる必要がありますね。経営者であれば、実はそういうことをいつも考えていなければならないと思いますが、日本には、そういうことを考えている本当の経営者・事業家は少ないですな。
 まあ、社長はたくさんいるんだけど、これがただの社長でね、とうてい経営も起業もできないわけですな。それらの人が本当に新しい風を察知して新しいビジネスを始めていたら、こんなに不況にはなりませんな。
 本当にできないというわけではないのかもしれません。昔はリスクに果敢に挑戦する経営者だったのも知れません。かもしれませんが、いまはそういうことができない社長はたくさんいますな。
 印刷業界も、その例に漏れず、本当の経営者・事業家ってのは、あまりいないようです。そういう人がたくさんいれば、印刷業が不況業種に指定されたりしませんよ。いま印刷業界が不景気だとしてら、自分でマーケットを創造できない社長がたくさんいるだけ、ということなんです。
 もしみなさんの会社の社長が、新しいマーケットを作り上げようとしているような人だったら、サラリーマンしていてもけっこう刺激的でおもしろいかもしれせんな。まあ、もっともあんまり刺激的すぎると明日はわかんないということもありますけどね。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年07月号所収)
 

第13回2/4:あなたにでもできる独立のすすめ





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◆変わるものと変わらないもの:あなたにでもできる独立のすすめ2/4

 私のこの言葉を会社の名前にしたのはね、印刷に関わりの深い言葉で、多くの人が知らない言葉だから、ということもあります。あるいはね、たまたま独立しようと思っていたときにそういう本の歴史についてかかれた本を読んでいた、というようなこともあるんです。創元社から発行されている「知の再発見」双書のなかの「本の歴史」という本ですね。




 でもね、ただ私がおもしろいと思ったのは、

グーテンベルク金属活字という今までにない印刷技術を開発したからといって、
瞬く間に誰でもが本を読めるようになったかというと、そうではない


ということですな。
 グーテンベルクの印刷技術で本が量産されるまでは、本というのは大金持ちか王侯貴族の持ち物だったわけです。あるいは教会のものですな。
 というのはそれ以前は、本というのは一冊一冊を手書きで写本してたわけですね。聖書を一冊写本するのに修道士とか学生とかがね、何年も何年もかけて書き写すわけですよ。だから、一冊の本の値段は、家一件分くらいだといわれていました。そのくらい高価なものだったわけです。
 ところが、金属活字による印刷技術が発明されて、いままでのように一冊一冊ではなく、何百部というボリュームで大量生産が可能になるわけですな。そのくらい量産ができるようになると、本の値段は家一件分のね、何十分の一かどうかは知りませんが、小金持ちが買えるくらいの値段にはなっていたのでしょう。
 というのは、実際には、グーテンベルクの印刷技術は「刷り本」の部分だけを合理化するだけで、それ以外の行程では、あいかわらず、いままでの写本と同じように、頭文字を装飾したりイラストをいれたり、職人技で製本したりという行程は必要だったわけです。
 16世紀頃までは、本は「刷り本」の形態で流通することが多かったのようですな。書籍商は「刷り本」を販売して、買った人が自分の趣味に合わせて装飾・製本するわけです。
 たしかに金属活字の印刷技術はヨーロッパ社会を変貌させたといえます。それでも、「本を作る」ということのすべてがいっぺんに変わったわけではなく、写本の技術をリプレースする形で徐々に印刷技術全体が写本の時代から抜け出していくわけですな。
 だからね、私なんかが思うのは、画期的な技術が現れても、何もかもが一度に変わってしまうのではなく、それによってすぐに変わるものもあれば、変わらないものもあるということですな。
(工学社 Professional DTP誌 2001年07月号所収)
 

第13回1/4:あなたにでもできる独立のすすめ





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◆「インクナブラ」ってなんですか:あなたにでもできる独立のすすめ1/4

 私も独立していつの間にか、二年が過ぎてしまいました。なんか早いですね。もう丸二年が過ぎ、三年目となりました。
 ありがたいことに何とか二年は会社をつぶさずに持ちこたえることができましたね。世間では、独立して会社を興しても、五年持つ会社は少ないといわれています。ですから、私もこの三年目が“勝負時”だろうなぁ、と思っています。まあ、三年目に基盤ができれば、五年以上はなんとか持つんではないかと思ったりしていますけどね。
 ところで、私の会社名は「インクナブラ」っていいます。印刷関係の業界で飯を食うのであれば、是非知っておいて欲しい言葉なんですが、よくその意味を聞かれます。

インクナブラってどういう意味ですか?

 そりゃ、そうかもしれませんね。普通は使わない言葉ですからね。どういう意味があるんだろうと気になる人もいるようです。
 だいたい初対面で人に会うときは、第一印象が大事です。「いい印象」とか「悪い印象」ということもありますが、できるだけ「強烈な印象」を与える方がいいわけですね。要するに忘れられないようにしなければ、ビジネスにはつながっていきにくいというわけですな。
 個性として「強烈な印象」を持っている人もありますが、そうでない場合は、会社の個性を強くして印象を強くしたりしますね。一番手頃なのは、名刺を透明な塩ビで印刷したり、二つ折りや三つ折りにして業務内容も印刷したりすることなんかですな。そういう方法でも、多少は印象を強くしますね。初対面であっても、会話の糸口をつかめたりします。
 だから、

「なんだこりゃ」っていうような名前を付ける

のは、効果のない事ではないかもしれませんな。
 もっとも、そう聞かれて、相手が「ほう」と感心するような由来があれば、印象はさらに強烈になって、営業はしやすくなるわけです。
 「インクナブラ」っていうのは、昔の「」の呼び名ですな。昔のといっても、たいへん由緒ただしいものです。グーテンベルク印刷技術に由来する言葉なんですな。
 はじめてグーテンベルクが金属活字を使って印刷技術を完成させたのは、十五世紀半ばといわれています。正確には1454年という説が有力です。いろいろな資料から判断すると、そのあたりだろうということのようですな。グーテンベルクの作ったとおぼしき聖書の一部が、1454年に販売されていたということがその根拠のようです。もっとも、聖書を印刷する前に、いくつかの印刷物を作っており、その一番最初のものは、1448年だったという説もあるようです。
 グーテンベルクが金属活字の技術をつかってマインツで最初に印刷した聖書は、事業という点ではうまくいかなかったようですな。どんな優れたものでも、最初から諸手をあげて受け入れられたというわけではありません。彼は出資者からは見限られ、グーテンベルグの印刷事業は頓挫したのです。しかし、彼のもとで印刷技術を学んで巣立っていった職人は多く、金属活字はヨーロッパに普及しました。
 彼の印刷技術は、まずはライン川沿いに、そして次にヨーロッパ全土に広がっていくわけです。このヨーロッパに拡散した印刷技術が、ルネッサンスの大輪の花を咲かせ、そして、そのあとはその反動で暗黒の異端裁判の時代となるわけですな。
 それで、そのグーテンベルクが発明した印刷技術で作られた本のうち、だいたい1500年頃までに印刷された本のことを「インクナブラ」というわけです。日本語では「初期刊行本」とか「揺籃期本─インクナブラとはラテン語から由来し、ゆりかごの意味を持つ」とか訳したりしますけどね。まあ、ドイツ語ですからね、「インキュナブラ(INCUNABULA)」と発音することもあります。
 というわけで、私の会社名は、そういうたいへん由緒正しい印刷用語を持ってきたわけです。印刷に携わるのであれば、知っておくべき言葉だと思いませんか。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年07月号所収)
 

第12回4/4:コンシューマビジネス始めますか、始めませんか





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◆印刷会社もコンシューマビジネスはいかが:コンシューマビジネス始めますか、始めませんか4/4

 Adobeはコンシューマ、つまりB(ビジネス) to C(コンシューマ)のビジネスだけをしていたのが、AcrobatではB to B のビジネスを始めました。それとは逆になりますが、印刷会社はB to Bのビジネスだけでなく、B to C のビジネスもやってみたらいいのだと思いますね。
 そりゃ、確かに、違う販売チャネルを開拓するのはリスクがあるでしょう。経験もなければノウハウもないから、たいへんです。でもね、今となってはB to B で儲けさせてくれる得意先を見つけるのは、もっと大変ではないでしょうかね。同じ大変な目に遭うのであれば、やっぱりね、将来性の高い、あるいは、大儲けできるかもしれないことをしたほうがいいように思いますね。
 だいたい、印刷のことをよく知っていると、オフセットで印刷しても、一番安くする方法がわかります。たとえば素材集のブックレットを印刷するとしますよね。同じ使用のブックレットを印刷をしても、素材集のメーカーが印刷物印刷会社に発注するのと、印刷会社が社内で作るのとでは、印刷代のコストは大きく違いますね。もっといえば、印刷会社だったら、もっもとコストのかからない仕様で──たとえば、インレイとブックレットを同じ用紙にして付け合わせるとか──ブックレットの仕様を決めることもできるわけですな。
 でもね、もし社内に制作部門があればね、仕事がね、それほど忙しくないときに、素材集のネタを作り貯めすることはできますよね。素材集といったって、画像データでなくてもいいわけですな。アプリケーションテンプレートだとかだったらデザイナーであれば、誰にでもできるでしょうし、いままでの制作物から応用してつくっていくこともできますな。あるいは、Flashに特化した素材集とか、Illustratorグラフィックスタイトルのデータ集とか、頭をひねればいろいろ考えられると思いますね。
 私は皆さんに「素材集をつくったら」といっているわけではありませんよ。なにも私の商売の競合他社を増やしたいわけではないからね。ただ、そういう風に

社内の資産を有効に活用していく方法


を、もっともっと模索していくべきだと思うわけです。だから、印刷会社が出版社になってもいいと思いますね。まあ確かに、既存の取次を通すのは難しいでしょうけど、取次なんか通さずに売る方法も併せて考えればいいだけですな。
 それってそんなにコストがかかることでしょうか。そんなことはないと思いますよ。そりゃ失敗するかもしれません。作ってみたものの、売れないかもしれません。いままでやったことのないことだからね。でもね、社内の設備や人材などを資源すれば、そんな莫大な授業料を払う必要はないと思うわけです。
 それにそういう販売チャネルの開拓の中から、従来の印刷物が受注できることもあるはずです。
 だからね、印刷機を回すためだけでなく、社内のさまざまに資産を有効に利用するためには、得意先、つまりクライアントビジネスだけではなく、単価が小さくてもいいから、一般のコンシューマ向けの商材も開発していくことも必要ではないかと思いますね。
 というわけで、みなさんは、コンシューマビジネス始めますか、始めませんか。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年06月号所収)

第12回3/4:コンシューマビジネス始めますか、始めませんか





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◆印刷機の回し方も両刀使いでどうだ:コンシューマビジネス始めますか、始めませんか3/4

 アプリケーションソフトというのは、マスマーケティングで販売していくわけですな。雑誌で広告宣伝して、キャンペーンの企画を立てて、ユーザーに認知してもらい、販売店を通じて買ってもらうわけです。
 しかしソフトによっては、Acrobatのように、直接販売したり、大量に買ってもらえるものもあるわけです。ファイルメーカーなども、結構企業向けに販売することで業績をあげていますな。
 一つのソフトを作ったとき、必ずしもいままでと同じ売り方だけで売る――という固定観念は捨てたほうがいいのではないでしょうか。別の方法で売るチャネルを見つけていくということも必要だろうと思います。
 だからね、印刷会社の設備だって、印刷物を作るためだけにある必要はないんだと思いますね。印刷機もマルチユースすることだって必要でしょう。
 私が思っているマルチユースはね、印刷物を売る販売チャネルを別に見つけるという意味ですね。いまの印刷会社では印刷機を回すためにどうするのかというと、得意先を駆け回って印刷物を受注してくるわけです。そうやって受注してきた印刷物だけで、印刷機が回るかというと、いまはなかなか回らない時代になってきていますな。
 そうなるとね、外からの受注に頼らずに、

自社の製品やサービスで印刷機を回す方法はないか

と考えてみることも必要なんではないかと思うわけです。
 ちょっと私ごとになりますが、私の場合はですね、印刷物の受注もしていますが、私の仕事はそれだけではありませんね。Webでプリンタを使って印刷したを売ったり、 CDの素材集を作ったりしています。
 おかげで、最近はいったい何が本業なのか、わからないようになってきています。「インクナブラの本業はなんやねん」と自問しても、私も「よくわからん」というのが本音ですな。
 ただ、私が持っているノウハウとか知識とかをどういうふうに展開したら、商売になるのかということを絶えず考えているわけです。その中に印刷物を受注して納品する仕事もあれば、自分で書いたノウハウやTipsを本にして売るということもあり、印刷用の素材集をつくる――まあ、かっこよく言えばプロデュースするわけですな――ものもあるというわけです。
 それでですね、プリンタ本でも表紙はオフセットで印刷しますし、素材集にいれるインレイやブックレットはこれもまたオフセットで印刷するわけです。いまのところ私の会社には印刷機はありませんから外注していますが、もし社内にあったら、社内の印刷機を稼働させることができることになります。プリンタ本だって、別に数量が見込めれば、なにもプリンタで印刷しなくてもオフセットで印刷してもいいわけです。
 私はね、印刷会社が、たんに印刷物を受注することだけを考えるのではなくて、自社の資産やノウハウを、全く違う販売方法で売ってみるということにトライしてもいいと思っています。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年06月号所収)
 

第12回2/4:コンシューマビジネス始めますか、始めませんか





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◆両刀使いでAcrobatを売るAdobe:コンシューマビジネス始めますか、始めませんか2/4

 Adobeはずっとフォントを売ってきました。最初にDTP用として使われた高品位のPostScriptフォントを生み出したのはAdobeでした。ですから、Adobeにとってプリンタフォントがいらないレイアウトソフトというのは、ある意味ではジレンマがあるわけですな。まあ、過去にあったんでしょうが、いまはもうジレンマではないでしょうな。
 プリンタフォントが必要――という古い技術に固執続けてもいいのか、というアンチテーゼが社内にあったのではないでしょうか。そういう中から生まれてきたものが「PDF」なわけです。だから、

フォントビジネスは捨ててもいいから、PDFを新しい飯の種にしよう


という切り換えがどこかであったに違いありません。
 そういうビジネスモデルの転換からInDesignというソフトは生まれてきたのではないかと私は思っています。InDesignもそうですが、Illustrator 9でも、もうフォントが太ることなく出力できます。もちろん、プリンタフォントなしでですよ。まあ、どんなRIPでもというわけにはいかないかもしれませんけどね。
 Adobeにとって、PDFは救世主であったいえるでしょうな。たぶんPDFのメリットは二つあるのではないかと私は思っています。一つは、PDFが完全なデバイス・インディペンダントなドキュメントになることで、Adobeのいう“ネットワーク・パブリッシング”の尖兵となることができたことでしょうな。もし、昔のままでPostScriptに固執していたら、いまのAdobeはなかったかもしれません。
 ドキュメントがパソコンのOSから解放されたから、PDFはネットワークでの標準フォーマットの一つになることができたわけです。急成長するネットワークビジネスに切り込んでいかないと、Adobeの成長もまたないということは、自明のことですからね。
 それでもって、もう一つのメリットは、Acrobatというソフトが、企業(エンタープライズともいいます)向けの商品となったことだろうと私は思っています。まあ、DTPのソフトというのは高額ですからね、たいていが企業が買うわけですが、企業といっても、1本ずつ売るわけです。だからまあ、ユーザーは一般のコンシューマ(消費者)という分類ですな。
 しかしAcrobatは専門的なソフトというわけではありませんな。どのようなアプリケーションのドキュメントでも、PDFというという統一したフォーマットにすることができるわけです。ですから、一つの企業で何十、何百という単位で販売されることがあります。つまり、百本だったら、百本のAcrobatを同時に使う環境を提供するということでしょうな。
 そういう、大量のビジネスユースのAcrobatの販売を、Adobeは直接行なっているようです。それはね、いままでのアプリケーションのほとんどが問屋を通して販売してきたのと違って、アプリケーションによってはビジネス向けのダイレクトのチャネルがあることを、Adobeは見つけたというわけでしょう、Dellのようにね。こういうのは、Acrobatだったからこそ、今までと違う売り方が見えてきたのではないかと思いますな。他のソフトでも法人向けのライセンスプログラムがありますが、Acrobatだからこそ、ビジネスとして成立したのではないでしょうかねぇ。
 噂によると、この企業向けのAcrobatは結構業績がいいようです。もちろん企業向けのAcrobatは大半がWindows版ですけどね。もっとも、どの程度売れたかは私はしりません。しかし、数年前にリストラをせざるを得なかったAdobeの業績回復には大きく貢献したのではないかと、私は憶測していますけどね。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年06月号所収)
 

第12回1/4:コンシューマビジネス始めますか、始めませんか





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◆InDesign、使っていますか:コンシューマビジネス始めますか、始めませんか1/4

 「日本語DTPの本命」になるかどうかは知りませんが、InDesignがリリースされて数ヵ月が立ちましたね。これでQuarkXPress一本槍だったレイアウトソフトの勢力図は塗り替えられるのでしょうか。
 まあ、そんなことはよくわかりませんが、「InDesignってどんなソフトだろう」というのは誰しもが気になるところでしょう。ちょっと触ってみたい――と思いますよね。
 いままでQuarkXPressで問題なくできていたものを、InDesignに切り換えることができるのかといっても、使ってみなければ判断できません。QuarkXPressで十分なものもあれば、InDesignの方がメリットが大きいものもあるでしょうな。
 というわけで、私も「InDesignの実力やいかに」というわけで、使い始めています。なかなか最初は戸惑うところがあって、「QuarkXPressの方が早くできるのになぁ」とブツブツとつぶやきながら、ユーザーガイドマニュアル本を見ながら、ひとつひとつ機能を覚えていっています。
 私の場合はね、自分で本を書いて、それをプリンタで印刷して売っていたりするので、そういうの本の制作に、どんなレイアウトソフトを使っても構わないということがあります。だから、レイアウトソフトにこだわる必要はありません。
 いまはInDesignの検証をしていて、それを本にしようと思っていたりするので、やはりね、その本はInDesignで組まなければならんでしょうな。実際に使っていかないとわからないこともたくさんありますからね。もちろん本文は小塚明朝で組みます。せっかくバンドルされているのだから、使わなくちゃね。
 それで、どんな検証をしているのかというとですね、たとえば、

InDesignにIllustrator EPSのファイルを貼り込む
  ↓
PDFとして書き出す
  ↓
Acrobat 4.0でTouchUpする


とどうなるのか――というようなことを調べていますな。結論をいうと「TouchUpできない」わけです。また、Illustrator EPSのバージョンごと書き出して、PDF化されたとき、フォントフォーマットごとにどうなるのかといった違いを検証しています。
 それ以外にもいろいろ検証していこうと思っています。主にInDesignとPDFの関係を中心に検証したいと思っていますね。というのは、InDesignが普及するとしたら、やっぱり、PDFのワークフローと一体となっていくことが非常におおきなファクターになるだろうと思うからです。
 もちろんInDesignのメリットは他にもあるでしょう。強力にカスタマイズできる組版仮想ボディで文字組みできるところもそうでしょうな。私なんかは、OpenTypeのPro書体で、字形パレットを開いた時の字形の多さには感心してしまいますな。異体字を揃えた漢字なんかよりも、記号類の充実さにももっと注目してほしいなぁ、と思いますね。数字なんかの異体字でも、丸で囲んだものや四角で囲んだもの、白抜きのものやピリオドや括弧がセットになったものなど、10種類ぐらいあったりしますからね。
 そういういろんな文字を使ったとき、そのまま出力できるというのがInDesignのメリットだろうと、私は思っています。それで、そのまま出力する――という部分は基本的にはPDFが核になっているわけですな。QuarkXPressは日本語を出力するとき、プリンタフォントがいるけど、InDesignはいらない――というのが、InDesignのいちばん大きなメリットだろうと思うわけですな。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年06月号所収)
 

第11回4/4:売れるものと儲かるもの





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◆新しい技術にはリスクもあるが儲けもある:売れるものと儲かるもの4/4

 商売っていうのは、「瓢箪から駒」みたいなことがおうおうにしてあります。商売にしようとしていることと、実際やってみて商売になることとは同じでないことの方が多いのではないでしょうか。
 たとえば、出力センターでも、フィルムの出力が本業でしょうが、フィルムを出力するより、大判のインクジェットの出力の方が儲けは大きいなんてことがあります。いまは知りませんけどね、数年前はそうでした。
 フィルムの出力は1ファイル入稿して一回出力するというようなことになるのですが、大判の出力は、展示会などで使うので、一回の発注が数十枚、場合によっては百枚単位で発注があったりします。ですから、大判のポスターなんかは営業にいかなくても、結構な売上になって利益もでるわけです。
 だからね、印刷会社も印刷物で商売しているように見えても、

儲けるものは別

であってもいいんですね。というより、儲かるものを作っていかなくてはならないんじゃないでしょうか。
 印刷会社にとってなにが儲かるのか、なんていうことは、その印刷会社によって変わってくると思いますが、儲かるものは、新しい技術のなかにしかありません。誰でもできる、誰もが知っていることは、当たり前ですが利幅も少ないわけですな。
 得意先を主体にするのであれば、その得意先に、新しい技術とその使い方をちゃんとアピールして、商売にしていくことを考えていくしかないでしょう。
 たとえばCD一枚つくるにしても、普通のCD-ROMだけでなく、販促ツールとして使う名刺型のCDもあるでしょう。コンテンツもDirectorなどオーサリングソフトを使うのか、HTMLでいくのか、あるいはFlashでするのかによって、使い分けなければなりませんよね。またハイブリッドにするノウハウも必要になるでしょう。営業マンであれば、そのくらいデレクションできなくてどうするんだということになります。
 印刷物を作ってもCDを作っても、道具が違うにしても、流れはそれほど変わらないわけです。もちろんCDを作っても印刷機は回りませんけどね。しかし少しばかり営業がそういう知識を持っていれば、ディレクションはできるわけですよね。しかも、そういう受注は、印刷物よりも利益は多いはずです。当然そういったことができる会社は多くないので、価格競争には巻き込まれなくてすむわけですから、まあいえば、儲かるわけです。
 別にCDの作成でなくてもいいんですが、そういう新しいメディアやツールは商売になったとき、儲けは出やすいといってもいいと思いますね。もちろんそういう新しいメディアやツールが確実に儲けを生み出すということは保証できません。保証されないからこそ、利益が大きいわけです。
 しかし、そういう誰もが知らないリスキーなビジネスを手掛けないと、儲かるということはまずありませんよ。売れているものと、儲かるものとは違うんです。
 前回は、会社内にある資源のマルチユースということをいいましたが、だた単にマルチユースするのではなく、うまくいったら儲かるものにターゲットにしなくてはいけないんです。たくさん売れるものが必ずしも儲かるものではなく、たくさん売れることによって築き上げられた販売チャネルや人脈を使って、本当に儲けがでるものを作りだしていかないと、印刷業はいつまでたって不況業種のままで終わってしまいますな。
 不況業種から抜け出して本当に儲けたいのであれば、儲かるものを自分の頭で考えて実行していくとかないと私は思いますけどね。営業マンといえども、いままでの常識や慣習にとらわれずに飛躍した商売人になることを目指しましょう。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年05月号所収)
 

第11回3/4:売れるものと儲かるもの





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◆クワガタ虫ではなくカナブンを売る:売れるものと儲かるもの3/4

 といいつつも、私は商売の真似事みたいなことを子供の頃からしていました。といっても中学生くらいですけどね。
 それで何をしていたかというと、たいしたことはないんですが、夏に近くの山にいってクワガタ虫をとって売っていたことがあります。7月の半ばくらいに、1週間くらい早起きして、自転車で二十分くらいのところにある山麓のくぬぎ林で、クワガタ虫やカブト虫を取るわけです。それを近所の公園で、小学生や幼稚園児相手に売りましたね。
 売るといっても、飼育ケースを公園のベンチに置いておくだけなんですが、それでも小学生とか幼稚園児が寄ってくるわけですな。それを見せたり触らせたりしていると、その小学生とか幼稚園児とかがおかあさんを呼んでくるわけです。それで一匹売れるわけです。
 そうやって

一週間で数十匹売りました。

友人と二人やっていたのですが、壱万円ちょっとの売り上げでしたな。当時の壱万円は結構な「大金」でした。私が中学一年生の時に夕刊だけ新聞配達をしてとき、約百四十軒配達して、1ヵ月のアルバイト代が五千円だったことを考えると、結構儲かった「商売」だったといえるでしょう。朝の小一時間と夕方の数時間を1週間程度ですから、労働時間の割にはうまい商売だったと思いますね。
 ただ、一番売れたのは何かと言うと、実はクワガタ虫やカブト虫やじゃないんですね。確かに子供はクワガタ虫やカブト虫を欲しがりますが、ノコギリクワガタやミヤマクワガタは三百円とか四百円とかで売るわけですから、やっぱり、そんなお金を持っているわけではありません。おかあさんも、そんな簡単にお金を出すわけではありません。だからね、クワガタ虫やカブト虫は、数からいうとそれほどたくさん売れないわけですね。
 それで何が一番たくさん売れたのかというと、これがカナブンなんですね。私なんかにとっては、カナブンはぜんぜん価値がないわけです。クワガタ虫やカブト虫と違って何時だって採れるものです。売る気もほんんどなかったわけです。
 ところが公園のベンチで暇なときに、カナブンで遊んでいたら、それを見た小学生とか幼稚園児がカナブンを欲しがるわけです。カナブンの首の付け根を裁縫用の糸でくくって飛ばしていたのです。カナブンはすぐに飛びますから、糸を付けて放り投げると、ラジコンのヘリコプターのように周囲を回るわけです。
 それを見ていた小学生とか幼稚園児が、「オッチャン、それちょうだい」というわけですな。もちろん何時でも取れるカナブンですから、十円とか二十円で売るわけです。十円とか二十円だったら、おかあさんも簡単に財布の紐は緩むし、自分のこづかいで買える子供もいるわけです。
 だからね、カナブンが結構たくさん売れたわけです。塵も積もれば山となるのたとえで、安くてもたくさん売れましたね。
 まあいえば、カナブンの用途開発をしたわけです。こうやって遊べば面白いよ、教えてあげると商売になるわけです。もっとも、カナブンはかわいそうでした。すこし強く糸を引っ張ると、首が取れちゃったりするんですけどね。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年05月号所収)

第11回2/4:売れるものと儲かるもの





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◆商売人は地元では飛躍できないのだ:売れるものと儲かるもの2/4

 まあでも、大阪人が商売人かというと、どうでしょうね。確かに顔の面は厚くて、モノを買うときに値切ったりするのは当然かも知れませんが、スケールの大きな商売人は少ないかも知れませんね。
 たとえば、いまある大手商社の発祥を辿ると、生粋の大阪商人はいませんな。伊藤忠丸紅はもともと兄弟会社で、これは近江商人ですね。三井の始祖、高利は伊勢松阪から江戸にでて、財を築きました。その三井を商社に育て上げたのは埼玉出身の渋沢栄一でした。そしてその渋沢とはりあった明治の政商が岩崎弥太郎で、三菱を作ったわけです。
 住友は大阪ですが、もともとは京都です。京都から大阪に出てきて、大きくなったのが住友です。
 大阪出身の商売人で一番有名な商人はだれかというと、淀屋橋をかけた淀屋でしょうか。淀屋は大名にお金を貸し過ぎて、幕府につぶされてしまったようです。もっもと淀屋も先祖を辿ると山城の出身のようですけどね。
 大阪商人といっても、日本全体でみればそれほどではないわけです。先物取引を世界で最初に行なったのは大阪商人で、それは自慢していいことかもしれません。
 私に「この大阪商人め」と言った同期の会員は高知の出身ですが、あこぎさという点では高知人の方が上かも知れません。薩長閥と結託して明治政府の払い下げで巨大な財閥を築いた高知出身の岩崎弥太郎の方が、あこぎな政商に見えるのは私の思い違いでしょうか。まあ、坂本竜馬も、商売の真似事をしていましたから、もし暗殺されなかったら、商売人になっていたかもしれません。
 まあいずれにしても、

生まれ育った土地で成功した商売人は、数が少ない

のです。ほとんどが「よそ者」なのです。
 というのは、生まれ育った土地(村社会)では、しがらみもあるし遠慮もあります。ですから、思い切ったことはできないんですね。年が若いというだけでも、軽く見られてしまうわけです。
 しかし、見ず知らずの土地では、そういう生まれながらに背負ったものはありません。やりたいことをのびのびとできるし、行動した結果で判断して貰えるわけです。新しいことをやっても、変わったことをやっても、「よそ者だから」ということで、周囲の目を気にしなくてもいいわけです。
 だからね、商売というのは、あまりいろんなことを気にしているとなんにもできないわけですな。さしずめ今だったら、「生まれ育った土地」というのは、「業界の動向」でしょうかねぇ。印刷業界のどこの会社が何をしたとか、どんなやり方をしているというようなことに耳をそばだてても、本当の商売人にはなれないんじゃないかな、と私は思いますけどね。
 まあ商売というのはね、結果が全てですからね、結果が出ないと駄目なわけですね。そのためには、いままでの常識や慣習にとらわれていたら、飛躍した商売人にはなれないというわけです。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年05月号所収)
 

第11回1/4:売れるものと儲かるもの





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◆プリンタでできるDesktop Publishing:売れるものと儲かるもの1/4

 最近、カラープリンタを手にいれまして、それを使って本を作っています。私の持っているカラープリンタは、カラーでもA4で1分間に21枚出力できるうえ、両面印刷の機能がついてます。オプションですけどね。
 このプリンタの出力が結構早いんですね。ですからそのまま印刷機代わりに使っています。A3ノビでA5サイズのデータを4ページ面付けして両面印刷すると、刷り本になるわけです。もっとも200部程度が限界ですが、A3ノビで両面200枚をプリントアウトして30分位ですね。
 表紙はオフセットで印刷して、無線綴じするとそれなりに本ができます。カラーは色目の再現性やトナードラムの費用を考えると、ちょっと厳しいところがありますけど、モノクロは

これがトナーか

と思うくらい綺麗にプリントできます。それで、そうして作った本を売って商売していたりします。
 まあしかし考えてみると、昔からこんなことばかりしていましたね。学生の頃に私はSF研究会というサークルにいましたが、やっぱりね、そこでも本を作っていました。会員の誰かが書いた小説とか評論とかを編集して本にしていました。そのころはね、本といっても手書きの原稿ですよ。トレーシングぺーバーロットリングで書いたものを青焼きしたり、軽オフセットで印刷したりしていました。
 だから、いまプリンタで本を作っているのも、学生のころにやっていたことの延長ですわな。書いているテーマは違いますし、DTPになって全部自分でできてしまうというのが、大きな違いといえば違いです。もちろん仕上がりは雲泥の差がありますけどね。まあでも本質的には、

道具が変わっただけ

といえなくもありませんな。
 もともとDTPというのは、Desktop Publishingですから、もっとパーソナルにできるものだと思いますが、いかんせん、日本のDTPはDesktop Prepressであって、Desktop Publishingではありませんな。私としては、今後よりパーソナルなものになっていくことを期待していますけどね。
 それで話が戻りますが、SF研究会の会誌をつくるとなると、やっぱりなんといっても先立つものがいるわけです。もちろん費用は頭割りして会員から集めるわけです。しかし、学生ですからね、いつもピイピイいっている連中にお金を出させるのは一筋縄ではいきません。
 会誌の費用をそのまま集めるのは難しいので、飲み会があったときとか、合宿したときに、その費用を上乗せして徴収するわけですな。会誌の費用だったら出さない連中でも、飲み会や合宿の費用だったら、なんとか調達してきます。そこに多少上乗せしてあっても、とりあえず払うわけです。本当は、余ったら返すお金なんですが、それをそのまま会誌の発行代――つまり印刷代に振り当てるわけです。
 そんなことをしていると、「この大阪商人め」とある同期の会員がいうわけです。テレビの時代劇にでてくる悪代官と結託した大店の商人のような「あこぎな奴」という意味でしょう。まあそりゃ、私は大阪生まれの大阪育ちですけどね。
(工学社 Professional  DTP誌 2001年05月号所収)
 

第10回4/4:コアコンピタンスをマルチユースしよう





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◆ノウハウや考え方もマルチユースできる:コアコンピタンスをマルチユースしよう4/4

 最近はあまり言われなくなりましたが、「ワンソース・マルチユース」という言葉がありますね。一つのドキュメントデータを、いろんなメディアアウトプットすることですな。ひとつのドキュメントを、レイアウトソフトに落としたり、HTMLに書き出したりするわけですな。いまは、SGMLXMLで、オリジナルデータから一気にバッチ処理してマルチユースで使うという方法が増えているので、あえて「ワンソース・マルチユース」と言う必要はないわけです。要するに、そういうことは言わなくても当たり前になっているわけですな。
 それで、ドキュメントデータだけでなく、

企業の考え方やノウハウも「ワンソース・マルチユース」になるんではないか

と私は思うわけです。
 もちろんね、できの悪い考え方やノウハウを、マルチユースしたら駄目ですよ。そりゃ、黴菌をばらまているようなもんですからね。やっぱりね、優れた考え方やノウハウをいろんな使い道で考えるということが必要なんですな。
 たとえば、ノウハウをマルチユースする面白い話では、新日鉄なんかが「こんなものを」というようなものをマルチユースしています。
 新日鉄はもちろん鉄鋼を作っている会社ですよね。高炉で鉄鋼を作るわけですが、鉄というのはオーダーメイドなんですね。自動車のシャフトになる鉄もあれば、冷蔵庫のボディになる鉄もあるわけです。そうすると、用途に合わせて作り方を微妙に調整する必要があるわけです。まあ、お客さんに合わせて組版のルールを調整するようなもんですよ。もちろんもっと細かい調整がいるみたいですけどね。
 それで、そのややこしい製造ノウハウを元に、新日鉄は、デリバティブの商品を開発したわけですな。デリバティブというのは金融派生商品と訳しますが、貸したお金や借りたお金にいろんな条件を一杯付けて、利息やリスクを含めて販売するものです。私も詳しくは知りませんが、計算の方式に似通ったところがあるんでしょうな。
 しかしそれにしても、製造現場のノウハウをまったく畑違いの金融商品にしてしまうというのは、驚くしかありません。その新日鉄のデリバティブがどのくらい売れているのかは知りませんが、新日鉄には製造工程のノウハウを睨みながら

別の使い方はないもんかいな

と絶えず考えていた人がいたわけですな。
 たぶん、トヨタにはそういう人はあまりいないんでしょうな。いてもその声は経営陣まで届かないんでしょうな。でもね、これからはそういうことを考えていかないと駄目だと私は思いますね。「ITはビジネスにならない」という前に、

「かんばん方式」という考え方を
Eコマースに当てはめるとどういうことなのか


とブレークダウンしてみたんでしょうか。あるいは「かんばん方式」の考え方を自動車の販売方法に落とし込むとどういう営業方法が考えられるのか――ということをとことん吟味しなければならないのではないでしょうか。
 トヨタがどうなろうと別にどうでもいいんです、それはトヨタが考えればいいことですからね。トヨタ自動車は儲かっていますから。でもね、皆さんの会社も、一番の強み、つまりコアコンピタンスがあると思うわけですが、それをまったく違った商売、違ったサービスに当てはめて考えてみることは必要だとは思いませんか。
 まあ、印刷営業のコアコンピタンスはやっぱりね、電話一本ファックス一枚で発注をくれる上得意先です。ですが、印刷会社としては、また違ったコアコンピタンスがあるでしょう。その優れた部分をね、マルチユースする方法を絶えず探っていき、実践していくことが必要だと思いますね。その結果、印刷会社でなくなってしまっても、それはそれでいいんじゃないでしょうか。
 中には、コアコンピタンスがないとおっしゃる会社もあるかもしれませんな。そういう会社はいまからでもいいですから、コアコンピタンスとなるものを作り上げることを考えていきましょう。印刷会社だからと言って、「紙に印刷するのが印刷会社」と定義してしまったら、もう先はないと私は思いますけどね。
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