印刷の営業はね、これからはぐうたらでなけりゃいかん、とこう思っています。「のっけからなんだよ」と思うあなた、それは間違ってます。刻苦勉励して陰日向なく業務に邁進するのがサラリーマンの勤めであって、「ぐらたらをすすめるとはけしからん」とまでは思ってないにしても、真面目に働くべきだと思ってるでしょ。
でもね、真面目に一所懸命働いたら、なにがしかの結果がでるのかというと、そんなことはありませんよ。まあ、なにがしかの結果はできるかもしれませんけど、働いた割にはたいしたことはないじゃないですかね。「働けど働けど...」で、じっと手を見る代わりに売り上げの報告書でもみますか。
営業の場合は、一所懸命働くってのは、要するに受注を増やすということですよね。それって
簡単に言うと売り値を下げてでも受注すること
なわけです。やっぱり、相手がね、あっと驚くような安さだったら、受注はしやすいわけです。
そんなことをしているから、印刷の世間相場は、みるみる下がってしまうわけです。まあ当然ですけどね、印刷などという全然珍しくない、それで誰にでもできてしまうような技術は、安くなって当たり前ですよね。
みかんとか白菜とか大豊作になると、つぶしてまわるじゃないですか。たくさん有り過ぎると、農協に卸してもその手間賃もでないから、つぶすしかないわけですよ。印刷会社もたくさん有り過ぎて減っていくしかない時期に来ているわけですね。
もっとも印刷代が安くなるのは、世の中にとってはいいことですけどね。商売なんていうのは、世の中の役に立つから、存在価値があるわけで、あまり世の中の役に立たないとなれば、値段が下がるしかないのは当然の理りですな。
そういうときに、頑張って印刷の営業に回るということは、本当にばかげたことだと思いますね。「もっと他にすることはないんかい」と言いたくなりますな。
(工学社 Professional DTP誌 2000年07月号所収)
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